2016年1月22日金曜日

インタビュー/先輩社員に聞く! ~職場復帰のその頃~


こんにちは、「女性の意識改革」分科会です。
突然ですが、みなさまは、年代の異なる先輩とゆっくりとお話する時間はありますか?
アンケートでは、「目標になるような女性社員が自社にいる」という項目、
当てはまるまあまあ当てはまる」と答えた方は、50パーセント未満という少し残念な結果でした。



自部署に女性の先輩がいない…こんな時どうしたら、誰に相談したら…。
そんな悩みをお持ちの方いらっしゃるのではないでしょうか。

でも、自部署にはいなくても、会社全体を見ればどうでしょうか。
私自身も、仕事と家庭のバランスが崩れて、悩みにつぶされそうな時がありました。ちょうど、子供が小学校に上がった頃、そうそう、いわゆる「小1の壁」というあれです。
そんな時、話を聞いてくれた他部署の先輩女性社員がいます。

以前のアンケートレビューでご紹介した「上司のやさしい言葉に救われた」と
コメントしてくださった先輩、N.Hさん。
先輩にもそんなことがあったんだ、もっともっと聞いてみたい――。

さらに、前回のアンケートレビューでは、「経験の差によって職場復帰に対する考え方が違う」という結果もお伝えしました。そこで、今回のブログでは、「先輩社員に聞く!~職場復帰のその頃~」と題してお話をうかがってみました。


                         ▼勤続33年のN.Hさん。経理の主任職として活躍されています


― ご家庭では娘さんお二人がすでに成人されて、お孫さんもいらっしゃいます。
職場復帰された当時のご心境をうかがえますか。

N.Hさん: 当社では、30年前は今よりも結婚や出産で辞める女性社員が多くいました。私も悩みましたが、さいわい、主人の母の理解があり、「働ける内に働いた方がいいよ」と後押しされ、職場復帰を決意しました。

― 職場復帰後はすんなりといったのでしょうか。

N.Hさん: いえいえ、当時は産後8週間で職場復帰する時代、
やはり今ほど職場復帰する女性がいなかったものですから、
「育児をほったらかして楽してるね」と男性社員にキツイ言葉をかけられたこともありました。

― 産休明けの方にとっては非常にショックな一言…。

N.Hさん: 当時の風潮を考えると仕方ないことだったと思います。また当時は「当社初の女性係長」となった先輩社員が、育児をしながら奮闘していました。けれど、体調を崩して辞めてしまった。その先輩に「ほどほどにね」との助言をもらいました。子供にも「他の子はお母さんが家にいるのに、どうしてうちは違うの」と言われたこともありました。

― 仕事と家庭の両立の難しさをまさに絵に描いたような状況、
凹んでしまいそうです…。

N.Hさん: 私もそうでしたよ。子供が病気になったり、怪我をしたりという時は、
こんな状態で仕事に行けるのか、自分を責めてしまうこともありました。
子供を心配しながらでは、仕事でも迷惑をかけてしまう
次女が生後8ヶ月ではしかにかかって入院した時には、
もう自分の中では辞める決心をして、退職願も準備していました。

― そんな苦しい時期が…。

N.Hさん: そんな時に、当時の上司が「休み休みでもいいよ、休んだときはみんなでカバーするから」と言ってくださったのです。その言葉に、すっと肩の力が抜けて、まさに、救われたという気持ちでした。そして今でも続けられています。あの時、上司の言葉がなければどうなっていたかな、と(笑)。

― 言葉の力は、偉大ですね。
職場復帰後は、仕事面では大きな変化はありましたか?

N.Hさん: 元々、総務に所属していましたが、二人目の産休明けから職場復帰して何年か経った頃、経理への異動の話がありました。今までやってきたことと全く違う、そもそもお金を扱う仕事なんて、とても務まらないと思ってしまったんですが、そこは覚悟です。それからは勉強勉強でした。あまりの重圧に、周りの笑い声にもピリピリするほど(笑)。でも、「あなたならできる」と上司が信頼して任せてくれたことは、大きな力になりました。

― そういう時期を経て、3年前に勤続30年を迎えられたんですね。

N.Hさん: なんとか続けてきて、よかったことも、あります。
永年勤続30年の表彰制度で、旅行券を支給してもらい、次女と石垣島に行きました。到着するとホテルの部屋に、社長から「勤続30年 おつかれさまでした」というメッセージと、フルーツバスケット、そしてワインのプレゼントがありました。それを見た娘が「お母さん、すごいね。私も頑張るね」と言ってくれたことは、とても印象に残っています。ああ、頑張ってきてよかったな、そんな気持ちになりました。

― その光景、胸が熱くなります。
子育てに奮闘されていた当時と比べると、法律も改正されて、会社の制度は昔に比べてよくなってきていますが、今でも女性社員は不安を抱えています。結婚、出産を機に辞めてしまう若い社員も多いと聞きます。

N.Hさん: 制度が変われば、会社の風土も変わってきますよね。
育児休業制度(※注)ができてからは、私の一回り下の世代で職場復帰する女性が徐々に増えてきました。彼女たちは、事務職や製造オペレーターなどさまざまな職種で、今でも活躍しています。

もちろん、育児や介護などのライフイベントに際して、制度や風土がより働きやすい環境であれば、大きな後押しになりますよね。さらに、「女性に期待している」とトップの方々が社内風土を盛り立ててくださることも、モチベーションが上がります。

でも、自分から行動を起こすことも大切です。普段からの職場でのコミュニケーション、家族やママ友とのコミュニケーションをうまく取ることで、困った時には助けてもらい、また助けてあげられる環境を、自分から整えることも秘訣です。

― 実感のこもったアドバイス!
最後に、今まさにライフイベントに直面していて、一歩を踏み出せずに悩んでいる方にメッセージをいただけますか。

N.Hさん: 女性にとってはデリケートな部分もあるので、周りは気を使って、なんとなく辞めてしまうのかな、という雰囲気を持ってしまう。そうすると本人もその空気を感じ取って、辞める方向に気持ちが揺らいでしまうこともあるように思います。結婚、出産後にも仕事を続けたいという気持ちがあるなら、自分が思っていることを上司や職場の同僚にきちんと言葉にして伝えることが大切です。

― このブログのテーマでもある「女性の意識」にも触れる部分ですね。自分から行動を起こす、その姿勢はポジティブな方向につながる、お話を聞いてそんなことを思いました。また、個人的にもお話をうかがってもいいですか?

N.Hさん: もちろんです、ぜひまた!

※注: 1992年に育児休業法が施行され、 「子が1歳に達するまでの間、育児休業をすることができる」となった。


                                                             ▼お手製の柚子ジャム
 



業務の合間にお時間を作ってくださったN.Hさん、ありがとうございました。
毎朝5時前に起きて、ご家族とご自身のお弁当を作っていらっしゃるとのお話も。
さらに、この日は、お庭で採れた柚子でジャムを作って持って来てくださいました。
ライフイベントを通してご自身に起こったさまざまな変化は、まるで甘酸っぱいジャムの味…。まさに酸いも甘いもという人生経験をうかがうことで、勇気をもらいました。

今しか見えず悩んでしまう…。そんな時に同じ会社の先輩であれば、違う側面から自分を見つめる視点を与えてくれるかもしれません。みなさまもどんどん自分から話しかけてみませんか。

そうそう、若い世代には「頑張りすぎないことも大切」というお話もしてくださいました。みなさまにもぜひお伝えしたく…。会社は違っても、同じ印刷業界の女性のみなさまにも、先輩の言葉が届くといいな、と。ゆったりとほっこりと、このブログがみなさまの心の湯たんぽになれますように、そんな願いを込めて…。

T.T(2)





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